平成30年度発足 新学術領域研究
発動分子科学

News&Event

発動分子科学ミニスクール@東京工業大学

 2019年12月16日から18日にかけて、東京工業大学生命理工学院の上野隆史教授 (計画班A01-3) の研究室にて、「大腸菌を用いた膜タンパク質の合成」に関するミニスクールが開催された。

 

 本企画は、これから初めてタンパク質を扱う研究者が、タンパク質合成に関する基礎的な実験を「体験」することで、当分野との共同研究や異分野融合への契機を得ることを指向したものであり、本領域に設置されるME-Hubを活用した実験と研究室訪問が3日間にわたって実施された。

  

  実験では、岡山大学大学院の須藤雄気教授 (公募班A01) にご提供していただいた膜タンパク質のプラスミドを用い、大腸菌への遺伝子組み込み、培養、タンパク質発現といった一連のプロセスに関し、上野研の安部聡助教と学生のご指導の下、実際に手を動かして体験した。実験操作を通じて、大腸菌を用いたタンパク質合成の基礎的なメカニズムや各操作の意味、研究室で実際に行われているタンパク質の設計指針・分析法に関して大変丁寧に説明していただき、論文や教科書ではなかなかイメージにしにくい現場ならではの知識・技術に「生」で触れることができた。

 

 また実験の合間には、参加者の研究テーマに関しディスカッションさせていただき、膜タンパク質を機軸にした共同研究や、融合分野への発展性に関して、非常に有用かつ具体的な構想を得ることができた。

 有機合成化学を専門としてきた筆者にとって、タンパク質分野の研究は、非常に魅力的であるものの、具体的な実験手法等がわからず敷居の高い分野であったが、今回のME-Hubを活用した体験実験を通じて、その実態を体感するとともに、異分野進出・共同研究へのきっかけを得ることができた。以上のように、これから異なる分野との融合領域研究を進めるにあたり、大変有意義なミニスクールであった。 (文責:尾本賢一郎)